掛け軸/掛軸/禅語「山水有清音(さんすいに せいおん あり)」

西晋の詩人、左思(さし:250~305)の詩『招隠詩』に「杖策招隱士。荒塗古今。巖穴無結構。丘中有鳴琴。白雪停陰岡。丹葩曜陽林。石泉漱瓊瑤。纖鱗或浮沈。非必絲與竹。山水有清音。何事待嘯歌。灌木自悲吟。秋菊兼�糧。幽蘭間重襟。躊躇足力煩。聊欲投吾簪。」(策を杖いて隠士を招ねんとするに、荒塗は古今に横る。巌穴に結構無きも、丘中に鳴琴あり。白雲は陰岡に停まり、丹葩は曜林を曜らす。石泉は瓊瑤を漱ぎ、繊鱗も亦た浮沈す。糸と竹とを必するに非ず、山水に清音有り。何ぞ事として嘯歌を待たん、灌木は自から悲吟す。秋菊は�糧を兼ね、幽蘭は重襟に間わる。躊躇して足力煩う、聊か吾が簪を投ぜんと欲す。)とある。木の枝をついて隠者を訪ね行くと、荒れた道が人も通らぬまま塞がっている。岩穴の住まいには立派な家などないが、丘から琴の音が流れてくる。白い雲が山の北に浮かび、赤い花が山の南の林に輝くように咲いている。岩の間を流れる水は玉のような石を洗い、小さな魚が泳いでいる。楽器を用意するまでもない、山や川にさわやかな音色がある。どうして歌を謡う必要があろうか、灌木が風に応じて、自然に哀愁のしらべを発している。秋菊の花は食用にもなるし、ひっそりと咲く蘭は重ね着につけて飾りにもなる。歩くうちに足がつかれ、暫く役人を辞めてこの地にいたいものだ。また、『宏智禪師廣録』に「繞籬山水有清音。」(籬を繞る山水に清音あり)とある。

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山や川にも自然の奏でる清らかな音楽があるの意。
下手な造作を加えないありのままの世界。

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